ドミニオンの基礎研究1

 戦略やカード毎の特徴はマルチプレイを実行するのに必要不可欠な知識であり、それは実戦では得る事が難しい。ゆえに様々な統計が取られてきた。例えば、ミニマルドミニオンは多くの人の判断基準となっているだろう。
 最近Simulate DominionBmu(=Big money ultimate 究極のお金プレイ)との勝率で強さを出すより実戦的な方法が提唱された。しかしこれはタイマン用のデータで、日本でのドミニオンは多くの場合4人戦であるため参考にならない。そこで、これを4人で行うツールを製作した。


Bmc

 BmcはBig money canonicalの略で、銀貨と金貨、属州のみを買う戦略のことである。Bmc4人の対戦を10万回試行したところかなり意外な結果が出た。

手番 1 2 3 4
勝率(%) 33.30 34.46 35.49 36.60
平均順位 2.27 2.14 2.10 2.17
平均ターン 15.23 14.98 14.73 14.48
平均勝利点 21.93 21.32 20.70 20.04
平均属州枚数 3.15 3.05 2.95 2.84
平均総金量 35.28 34.90 34.51 34.15
平均金貨枚数 4.78 4.69 4.60 4.51
平均銀貨枚数 6.97 6.92 6.86 6.81

表1 Bmc4人


 平均勝利点は先手の方が高いにもかかわらず、勝率は後手の方が高い。また、同点が非常に多く勝率が全員30%を超えている。
 これは勝利点が6点単位でしか動かないため同点が発生しやすく、また平均ターン数がかなりの差があることからもわかるようにターン数差での勝利が多いからだと思われる。


Bmu

 BmuはBmcに加え公領と屋敷を買う戦略である。これらをいつ買うかは属州の残り枚数で決め、[d/e]と表現する。例えばBmu[5/2]なら属州が残り5枚になったときに公領を買い始め、残り2枚で屋敷を買い始めるということである。
 タイマンではBmu[5/2]が最強だったが、4人戦ではBmu[8/4]が最も勝率が高い。他のプレイヤーが3倍になっている分早めに公領や屋敷を買い始める必要があるためだと思われる。


手番 1 2 3 4
勝率(%) 34.39 29.55 25.08 20.61
平均順位 2.22 2.33 2.48 2.64
平均ターン 17.77 17.51 17.25 17.00
平均勝利点 31.62 30.88 30.14 29.45
平均属州枚数 3.20 3.06 2.93 2.80
平均公領枚数 2.60 2.63 2.64 2.66
平均屋敷枚数 4.60 4.63 4.64 4.65
平均総金量 29.99 29.55 29.13 28.72
平均金貨枚数 3.23 3.12 3.01 2.91
平均銀貨枚数 6.65 6.59 6.55 6.49

表2 Bmu[8/4]4人



 1番と4番の勝率の差が15%近くと手番差による有利不利はかなり大きい事が明らかとなった。これがBmu独特のものなのか、実戦的な戦略でも差が大きいのかは今後調査すべき重要な点の1つである。
 Bmcに比べ勝利点はかなり伸びているが、ターン数は増えた。
 今後はこのBmuを基準に勝率を比較していく。



BmcBmu[8/4]
手番1234
176.4313.4111.8610.00
214.6173.1013.0811.24
315.5115.1468.2212.41
416.5816.1514.9761.91
1251.5848.247.476.28
1354.258.4940.866.72
1456.938.907.9333.28
239.8749.7345.837.57
2410.0352.618.8238.15
3410.7410.3147.2242.81
12339.5135.3230.537.45
12440.7236.588.6623.52
13442.2110.4329.7825.18
23412.0137.6633.2828.21

表3 Bmc VS Bmu[8/4]の勝率(%)


 平均するとBmc13.27%、Bmu44.45%となった。